法学部長 法学部教授

亀井 源太郎



 皆さんは、法学部や法学にどのようなイメージをお持ちでしょうか。分厚い六法全書を隅から隅まで暗記する場所、あるいは、無味乾燥な条文を振りかざして相手を論破する技術を学ぶ場所、そんなふうに思っている人もいるのではないでしょうか。
 しかし、法学部での実際の学修は、知識や技術を詰め込むことのみではありません。法学とは、社会で生じる切実な紛争を、理性と論理によって解決へと導くための知恵の集積であり、法学部ではこの知恵の修得を目指すのです。
 法学部で学ぶ学問――法律学と政治学――は、社会のあり方そのものと密接に関わっています。法律学や政治学の特徴や相違点をあえて単純化して説明するなら、法律学は、既存のルールとその運用によって社会を形作り下支えしているのに対し、政治学は、ルールを定める手続や望ましいルールのあり方を論ずることで、ルール作りを可能としている、ということとなるでしょう。アプローチの違いこそありますが、法律学も政治学も、社会を形作るルールを取り扱っているのです。
 ルールの存在と重要性は、ふだんは多くの人々にとって実感しがたいものでしょう。世の中が平穏であれば、多くの人は、ルールを意識せずに過ごせるためです。こう考えると、ルールを意識せずに生活できるのは幸せなことといえます。
 他方、危機の時代においては、あるいは、新たな問題が次々と生ずる時代においては、ルールの存在と重要性――ひいては法学の存在と重要性――が、広く認識されることとなります。私達は、まさに、そのような時代を生きているのです。社会に対して法学が果たすべき役割はますます大きくなっているのです。
 このような時代だからこそ、私は皆さんに、法学部での学びを通じて、表層的な理解やもっともらしい虚偽の情報に惑わされない知的な強さを身につけていただきたいと思っています。
 三田や日吉のキャンパスには、さまざまな経験をした、さまざまな背景を有する、個性的な仲間がいます。異なる個性との出会いと交流は、あなたの人生を豊かで面白いものにしてくれたり、皆さんを、まったく予想もしていなかった未来へと皆さんを導いたりしてくれるはずです。
 いま、このホームページをご覧になっているあなたが、慶應義塾大学のキャンパスで、法学を学ぶ輪に加わってくださることを、心よりお待ちしています。

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