学部案内PDF

2014年慶應=サンパウロ大学国際シンポジウムが開催されました

このたび、慶應義塾大学法学部の訪伯団(池田真朗(団長)、三木浩一、明石欽司、前田美千代、薮本将典、工藤敏隆の6名)が、2014年3月13,14日の二日間にわたり、ブラジル・サンパウロ大学において、慶應義塾大学法学部とサンパウロ大学法学部との学術交流協定に基づく国際シンポジウム『21世紀の法発展』に参加しました。両大学の交流は、1979年に開始されており(正式な協定締結は1981年)、今年は交流開始35周年にあたります。
サンパウロシンポジウム風景2014-03-14 14_large.44.29.jpg

両大学はこれまでも活発な交流活動を行っており、慶應義塾からは過去に森征一、宮島司、前田美千代の3名がサンパウロ大学に留学してきました。サンパウロでのブラジル移民90周年記念シンポジウム(1998年)と出稼ぎ問題シンポジウム(2002年)には池田真朗が参加し、同じくブラジル移民100周年記念シンポジウム(2008年)には、慶應義塾150年記念行事を兼ねて、森征一(当時常任理事)、池田真朗、宮島司、北居功、三木浩一、太田達也らが参加しています。また1999年には学術交流20周年記念行事を慶應義塾大学で行い、同年7月8日にはサンパウロ大学ワタナベ・カズオ教授に名誉博士号を授与しています。なお、日本の法学部でサンパウロ大学法学部と最も古い交流の歴史を持っているのも本塾大学です。

今回のシンポジウムは、二日間とも朝9時30分から昼休みを挟んで夜20時までという長時間におよぶ、合計6セッションを数える大々的なものであり、ブラジル側は、ワタナベ・カズオ教授、二宮正人教授、オオハラ・ツヨシ弁護士を中心に、司会者・報告者・ディスカッサントとして、サンパウロ大学関係者17名、裁判官・弁護士等の関係者5名の計22名という多数が参加しました。現地の日系新聞2紙にも記事が掲載されました。参加者は延べ100名を超え、2日目の午後は1セッションだけで90名を数えました。

慶應側の参加者の報告テーマは、①民事訴訟法セッション三木浩一「日本における消費者団体訴訟」②国際法セッション明石欽司「国際法史の現状」③ADR(裁判外紛争解決)セッション工藤敏隆「原子力損害賠償システムにおけるADR」④民法セッション池田真朗「日本民法改正における債権譲渡と債務引受」⑤法制史セッション薮本将典「日本近代法におけるローマ法の意義-教育、解釈学および歴史学としてのローマ法-」⑥消費者法セッション前田美千代「日本の消費者法における電子商取引」でした。

終了式では、まず池田真朗がポルトガル語で謝辞を述べ、ついでサンパウロ大学側から全員に感謝状が贈られ、池田真朗と三木浩一には多年の交流の功績をたたえる銀のプレートが贈られました(プレゼンターには、サンパウロ大学全体の事務総長を務めるヴェラスコ法学部教授も加わりました)。慶應側からも、サンパウロ側の司会者、報告者、ディスカッサント全員に記念品を手渡しました。
サンパウロ銀プレート2014-03-14 19_large.47.37-1.jpg

更に訪泊団のうち池田・前田・薮本・工藤の4名は、16日にブラジリアに移動し、17日には二宮正人教授の案内でブラジル連邦司法高等裁判所を訪れ、長官表敬訪問に始まり、司法チャンネルテレビ(裁判所内にテレビ局がある)に全員で出演してインタビューを受け、さらに二宮教授の旧友でもあるベネッチ判事の判事室に5名の判事が集まって慶應訪伯団との懇談を行いました。その後最高裁判所内部も見学し、すべての公式行事を滞りなく終了しました。

 ブラジルは、立法については日本よりも先進的なところもあり(今回の三木報告、池田報告、前田報告はそのような分野を扱っています)、またサンパウロ大学は南米を代表する大学であり、今後も慶應義塾大学が同大学と広範な交流を続け、かつ法学部がそのリーダーであり続けることが強く望まれるところです。