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法学部・朝日新聞社共催ジャーナリズム・シンポジウム「フクシマとオリンピック―メ ディアをどう考えるか」が開催されました。

2013年10月31日、北館ホールにて法学部・朝日新聞社共催ジャーナリズム・シンポジウムを開催しました。「フクシマとオリンピック–メディアをどう考えるか」と題し、上丸洋一・朝日新聞編集委員と塾生代表・大澤薫君(経3)が発題、その後のパネル・ディスカッションには山腰修三・メディア・コミュニケーション研究所准教授、塾生・宮田杏奈君(政3)が加わり、議論を繰り広げました。



上丸さんは、時空的遮断をはかる政治の動きに抗して、「われらの問題」として「フクシマとオリンピック」を考える必要性を訴えました。忘却装置になるオリンピックなるイベントの威力を、フクシマと連動させることで記憶の装置に変換するのがメディアと市民の責任である点も確認しました。大澤君は、シンポジウム実行委員会に関わるなかで、受動的になりがちな読者・市民としての自分の弱さと自己矛盾という反省から、「追いついて、飛び込む」勇気をみつけた、と発題しました。

パネル・ディスカッションでは、山腰さんから、国策がジャーナリズムと世論を通して社会的価値となり、社会全体の目標となることによって生じる問題についての指摘があり、「復興の物語」として原発事故とオリンピックが語られることで、社会的価値がつくられつつある現状への批判的視点と精神の重要性が強調されました。宮田君からは、オリンピック招致が決定した前後の新聞報道を通して、メディアの自己矛盾と情報ギャップの存在に疑問を呈する発言がありました。

なお今回のシンポジウムは、今年度より法学部で開始した朝日新聞寄附講座の延長でした。シンポジウム実行委員会には寄附講座を受講した6名の学生が参加して、シンポジウムの開催に尽力してくれました。

講演者

上丸洋一氏
1955年岐阜県生まれ。1978年朝日新聞社入社。東京学芸部次長、オピニオン編集長、『論座』編集長などを経て2007年から編集委員。言論・ジャーナリズムを担当。著書に、『原発とメディア−新聞ジャーナリズム2度目の敗北』(朝日新聞出版、2012年)、『原発とメディア2−3・11責任のありか』(共著、朝日新聞出版、2013年)、『『諸君!』『正論』の研究−保守言論はどう変容してきたか』(岩波書店、2011年)など。

パネル・ディスカッション(第二部)

パネリスト

上丸洋一氏(朝日新聞編集委員)
山腰修三氏(慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所)
大澤薫君(経3)、宮田杏奈君(政3)
山本信人(慶應義塾大学法学部・司会)