

就職
法学部の卒業生は様々な分野に就職しています。学生時代に徹底的に学んだ経験と大きく広げた視野は、自らの将来の選択肢を多く持つことにつながっています。
卒業後に活躍している主な分野
■一般企業
会社は、営業、人事、総務、法務、経理など様々な職種の融合体です。どの職種でも共通して求められるのは理解力、分析、行動力、コミュニケーション能力といった根本的な力です。法学部では専門科目以外にも多彩な科目が用意されており、そこで得た幅広い見識や、自ら問いを見つけて解決に導く学びはどの職種でも活きてきます。
一口に民間企業と言っても様々な業種があり、法学部出身者の就職先業種は多岐に渡っています。
なお、法学・政治学を切り口に様々な社会問題に触れるなかで、メディア業界に興味を抱く学生も毎年多くいます。本学には大学附属研究所の一つとして「メディア・コミュニケーション研究所」が設置されており、入所試験に合格すると通常の授業とは別に専門的な研究を行うことができます。
■法曹(裁判官、検察官、弁護士)
訴訟、調停、法律相談などの一般民事事件、日本企業の海外進出をサポートする企業法務など、法律が必要とされる場面は拡大・深化し、質の高い法律家が求められています。
慶應義塾のロースクールは司法試験合格者数上位の実績があり、卒業生は司法機関、行政機関、法律事務所、企業内、グローバルな領域などでそれぞれ力を発揮しています。
ロースクールに入学するには入試に合格する必要がありますが、法学部の教授陣はロースクールの教授を兼ねる場合もあり、学部生の時からゼミなどで法的な思考を身につけることができます。
■公務員
変化の激しい社会の中で、公務員も強い変革の力と柔軟な発想力が必要とされています。自ら求めれば精一杯応えてくれる法学部の教育環境で培われる、物事を批判的に考える力、問題点を意識して自身の思考を深め表現する力は官僚としての確かなベースとなることでしょう。
国の政治を支える国家公務員総合職のほか、各省庁でエキスパートとして活躍する国家専門職、身近な行政の担い手である地方自治体職員や、国境に捉われず世界を舞台に課題解決に取り組む国際公務員など、公務員も個々の志望によって様々な選択肢があります。
※慶應義塾大学法学部は、法律学・政治学等の学修を授業以外でも支援する目的で、法学研究所という機関を有しています。所定の手続きを済ませた研修生は、随時開催される講演会・研究会等に参加することができ、法曹や国家公務員等のキャリアを考える一助となっているようです。
業種別就職及び進学等状況
2021年4月30日現在の原則として本人からの進路届に基づく。
2020年9月の卒業・修了者を含む。
就職者に進学就職者 を含む。
法学部 法律学科
人数 | |
---|---|
金融・保険業 | 123 |
学術研究、専門・技術サービス業 | 70 |
情報通信業 | 63 |
製造業 | 51 |
卸売・小売業 | 33 |
公務(教育公務員除く) | 30 |
サービス業 | 26 |
不動産業、物品賃貸業 | 17 |
運輸業、郵便業 | 13 |
建設業 | 10 |
医療・福祉業 | 4 |
教育学習支援業 | 2 |
農林・漁・鉱業 | 1 |
電力・ガス・水道・熱供給業 | 1 |
分類不能の産業 | 15 |
進学者数 | 121 |
その他 | 85 |
法学部 政治学科
人数 | |
---|---|
金融・保険業 | 127 |
学術研究、専門・技術サービス業 | 107 |
情報通信業 | 82 |
製造業 | 59 |
卸売・小売業 | 54 |
サービス業 | 31 |
公務(教育公務員除く) | 24 |
不動産業、物品賃貸業 | 23 |
運輸業、郵便業 | 18 |
電力・ガス・水道・熱供給業 | 11 |
教育学習支援業 | 11 |
建設業 | 3 |
医療・福祉業 | 1 |
農林・漁・鉱業 | 0 |
分類不能の産業 | 2 |
進学者数 | 28 |
その他 | 61 |
慶應義塾のサポート体制
就職に向けた活動は一般的には大学3年生の秋~冬ごろから始まります。就職活動は、自分自身を見つめながら将来を見据える貴重な機会です。独立自尊の気風が就職活動にも表れ、慶應義塾は「最も就職に強い大学」のひとつと言われるほど、毎年高い実績を残しています。大学では主に就職・進路支援担当が下記を中心にサポートを行っています。
就職までの流れ
就職活動はおおむね次のような流れで行われます。

慶應義塾のサポート体制
1. 就職・進路相談
各キャンパス就職・進路担当部署が、就職・進路全般に関する相談に応じています。
三田学生部就職・進路支援担当では、履歴書・エントリーシートの添削や模擬面接などにも対応しています。
2. 情報提供
企業から届く求人票、企業情報、企業説明会案内など、多数の情報を閲覧することができます。また、OB・OG訪問のための卒業生へのコンタクト先を学内の専用システムで検索できるほか、先輩たちによる就職活動体験記がkeio.jpから閲覧できます。
いずれも塾ならではの貴重な情報です。
3. 就職・進路セミナー・講座
就職活動や進路選択の上でおさえておきたい入門編をはじめ、就職活動の進め方、応募書類の書き方、面接対策、内定者(4年生)による座談会、エコノミストや専門家による各種講演など複数のセミナーを開催しています。
大学院への進学
大学卒業後、法律・政治に関する高度な専門教育を受けようとする場合には大学院法学研究科へ、弁護士などの法曹をめざす場合には法務研究科(ロースクール)へ進学し、さらに学問を深めることができます。法学研究科は、民事法学、公法学、政治学の3つの専攻分野があります。


法学研究科への進学
概要
大学院修士課程(2年)は、研究者や高度の専門的知見を要する職業に就くために求められる能力を培うことを目的とした課程です。
修了後は就職するか、後期博士課程(3年)に進学し研究を続けるのが一般的です。
修士課程を修了した学生の多くは、一般企業に就職しています。後期博士課程を修了した学生は、大学教員や研究者のほか、各種研究機関の職員や国際公務員になる者もいます。
大学院法学研究科修士課程には一般の大学院課程に加え「専修コース」も設置されています。今日、様々な分野で、より高度な専門的知識を持つ人材が必要とされています。実社会の要請に応えるものとして設置されたものです。
政治学専攻修士課程に設置されている「公共政策」と「ジャーナリズム」、公法学専攻修士課程に設置されている「宇宙法」の専修コースがあります。
大学院に進学するにあたって、通常の入試の他に、推薦入試制度があります。これは本塾法学部第4学年に在学する成績優秀な学生に対して修士課程入学試験の第一次試験を免除するものです。
進路
修士課程を修了した学生の多くは、一般企業に就職しています。民事法学専攻・公法学専攻の学生は企業の法務部門、政治学専攻の学生はジャーナリストなどの職種に就職する傾向も見られます。また、後期博士課程を修了した学生は、大学教員や研究者のほか、各種研究機関の職員や国際公務員になる者もいます。
◆専修コース紹介◆
宇宙法専修コース
宇宙開発利用は、1957年に始まった比較的新しい活動ですが、市民生活の安全・利便性向上、地球規模課題への取組み、安全保障向上などさまざまな側面において、いまや地球社会運営の不可欠の基盤に成長しています。その結果、宇宙に特有の法律上の課題も浮上しました。そこで、宇宙を対象とする広範な業務に携わることを目指して、宇宙法専修コースでは、ロケットや衛星の地上落下などに起因する第三者賠償、宇宙ゴミ問題、軌道上の衛星に担保権的権利を設定する場合の地上とは異なる問題点、宇宙保険、衛星の輸出管理、宇宙観光問題など宇宙活動についての法律問題を学びます。
先輩のなかには、民間ロケット打上げに携わる人もいます。また、衛星リモートセンシングや衛星通信関係法人に勤務する人もいます。宇宙を対象とするビジネスに広く興味のある人向けのコースです。
公共政策専修コース
公共政策専修コースの目的は、将来、政治家や公務員を目指す人だけでなく、広く公共的な問題の解決に向けて活動しようとする人びとに対して、政治学的な視点から公共政策の見方・考え方を習得してもらうことにあります。
したがって実務的な専門能力を重視するいわゆる公共政策大学院とは異なり、政治学というアカデミックな視点から公共政策の修士論文を作成するのが必修となっています。
将来のキャリア形成に役立つだけでなく、どの世界でも通用する人材を育てます。
ジャーナリズム専修コース
ジャーナリズム専修コースは、優れたジャーナリストの育成を目的に設置されました。優れたジャーナリストとは、旺盛な好奇心、そして豊富な情報や知識をもち、それらをもとに適切な判断を行い、社会に役立つ情報、すなわち社会の諸問題に関する報道・解説・論評を世に問う人たちを指します。
修士論文を執筆することを通して、ジャーナリズムだけでなく、重要な社会問題についての視点を学ぶこともできます。文章力を磨いたり、メディアの実状を知ることのできる、実践的な科目の履修もできます。
ジャーナリズムやマス・コミュニケーションを専攻するスタッフが、工夫を凝らした熱心な指導を行い、これまで数多くのジャーナリストがこのコースから巣立っていきました。


法務研究科への進学
◆法曹養成専攻 [ 法科大学院(ロースクール)]◆
概要
法科大学院は、法曹(弁護士、検察官、裁判官)に必要な学識及び能力を培うことを目的とした専門職大学院です。修了すると司法試験の受験資格と法務博士(専門職)の専門職学位が取得できます。
慶應義塾大学法科大学院は、理論と実務の架け橋という法科大学院の理念に加えて、国際性、学際性、先端性の三つを教育理念として、21世紀社会を先導する法曹を養成します。
具体的には、法学未修者コース1年次で集中的に基礎的な法的素養を身につけ、2年次、3年次で応用的な法的思考力を養成し、各自の専門性に磨きをかけます。
カリキュラム
必修科目
「法律基本科目」と「法律実務基礎科目」から編成される必修科目群は、新司法試験において重要視されると考えられ、法曹としても必須の法律知識を養う科目群です。法律的な基礎力と応用力を磨くために、独自のオリジナル教材を開発しています。
選択科目
基本的な法律知識を徹底的に身につける必修科目群に加え、多彩な広がりと専門的な深みを兼ね備えた選択科目群です。基礎法学・隣接科目のほか、展開・先端科目として8つの領域(公法系、民事系、刑事系、社会法系、国際系、学際系、外国法基礎系、グローバル系)で多彩な専門科目を展開しています。
ワークショップ・プログラム
必修科目群と選択科目群の頂点に位置づけられる「ワークショップ・プログラム(WP)」では、企業法務、金融法務、渉外法務、知的財産法務などの各分野の第一線で活躍する実務家教員と、先端研究を行っている研究者教員の指導のもと、実践的かつ総合的な教育を受けることができます。
入学定員 220名
[法学未修者コース(3年制)]約50名
[法学既修者コース(2年制)]約170 名
https://www.ls.keio.ac.jp/
法学既修者コース特別選抜入試制度
法曹コース科目を含む所定の法律学科の科目を優秀な成績で単位修得した法学部生について3年で学部を卒業し、法曹養成専攻の法学既修者コースに入学を認める制度です。
進路
修了後は、司法試験、司法修習を経て、主に裁判官・検察官・弁護士として活躍することになります。
◆グローバル法務専攻(LL.M.)◆
概要
グローバル法務専攻(LL.M.コース)は、グローバル・フィールドで活躍するグローバル法曹・グローバル法務専門職を養成するために、英語を使用言語として、原則1年間(パートタイムで1.5年または2年)で学位を取得することができる専門職大学院です。完全セメスター制で、4月入学と9月入学の選択が可能です。
定員30人の少人数教育を徹底し、世界各国から国際的なバックグラウンドを持った学生が集まる環境の中で、すべての授業を英語で実施します。教員も、日本で活躍するアメリカ人弁護士や渉外法務の第一線で活躍する日本人弁護士など実務家教員を中心に構成されています。
カリキュラム
カリキュラムは、9つの科目群からなり、日本やアジアの法制度について習得し、英語で発信する能力を身につけつつ、最先端のグローバル・ビジネス法務やグローバル・セキュリティー法務を学び、かつドラフティング・交渉・仲裁・模擬裁判などの実務トレーニングを受けるというチャレンジングなものとなっています。
留学など
アメリカ、アジア、オーストラリアなどの環太平洋諸国との提携を推進し、短期の海外研修や半年の留学制度、ワシントン大学(シアトル)やハノイ法科大学、ホーチミン市経済法科大学等とのダブル・ディグリー制度などを用意し、海外での拠点形成・ネットワーク形成を支援します。
進路
渉外法律事務所、グローバル企業法務部、国連等国際機関など
ロースクールのススメ
法科大学院 修了 Oさん
裁判官、検察官、弁護士になるなんて勉強嫌いな自分には無理、そう思っていませんか?
勉強が大変なことは否定できませんが、慶應義塾大学ロースクールは日本最高峰の先生方の講義、卒業生の方々によるバックアップなどにより、司法試験合格のための自信を得られる場所です。大学4年間はサークル活動に浸かりきっていた私ですが、ロースクールでは同じ志を持つ仲間と司法試験に向け日々切磋琢磨に努めています。もちろん、おいしいスイーツを食べたり好きな音楽についておしゃべりをしたりと学生生活には楽しいこともたくさんありますよ。
法律の世界って面白いな、と思った時には、みなさんの将来の選択肢のひとつにロースクール進学を加えていただけると嬉しいです。