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政治学科の一部のゼミを紹介します

政治学科のゼミ[一部]

竹ノ下 弘久 研究会【社会階層論、社会学】



当研究会では、社会階層論を主な領域に、研究会の活動を進めています。社会階層論では、人々が現代社会を生きていくために必要な社会的資源の不平等な配分とその形成メカニズムを考察します。そのなかでも、家族的背景、教育機会の不平等、労働市場におけるキャリア形成を、不平等形成の重要なメカニズムとして検討します。さらに、政治、経済、地域社会という点からも不平等の形成について考えます。
3年次は、社会階層と不平等研究における重要な諸理論と統計分析の方法の基礎を学習したうえで、いくつかの班に分かれて、三田祭発表に向けた研究を進めます。近年発展したデータアーカイブから提供される統計データを用いて分析を行います。三田祭終了後から4年次にかけて、卒業論文に向けた研究を進めます。卒業論文のテーマは、自分自身の関心に依拠して様々なテーマが選択されます。階層・不平等に大きくかかわるテーマもあれば、そうでないものもあります。社会学的視点から考察する論文が多いですが、政治学、経済学、財政学という観点から不平等について考えるなど、非常に学際的な論文となっています。

築山 宏樹 研究会【政治過程論、計量政治学】



選挙・議会・公共政策などの政治過程のメカニズムを明らかにすることを目的とした政治過程論という研究分野について学んでいます。たとえば、市民が選挙に行くと何が変わるのか、政治家の汚職はなぜ起きるのか、財政再建はいかに実現できるのか。こうした現実政治に関する身近な疑問を取り上げて、データ解析を用いた科学的アプローチから答えを導き出すことをめざします。
研究会では、プログラミングやデータ解析の技術について一から学ぶとともに、ゼミ生には、各自の問題関心に基づき、オリジナルな学術論文の執筆を行ってもらっています。学生の自由な発想・着眼点・情報収集の成果を持ち寄って、研究を組み立てていく作業は、教員にとっても学びが多く、知的好奇心を刺激してくれるものです。政治や社会の問題を発見し、その解決策を明らかにする。このような研究会の活動が、社会に新たな価値を生み出す創造的な人材へと学生を成長させる一助になればと願っています。

錦田 愛子 研究会【移民、難民の政治学】



わたしたちの日々の生活の中で、外国出身の方と接する機会が増えてきました。飲食店やコンビニで、注文をとったりレジを打ったりしてくれる人の名札の名前がカタカナなのに気づくことも多いでしょう。彼らは今では、日本の経済の一端を担う欠かせない存在となっています。ですが日本に実は移民政策はなく、難民の受け入れ人数も他の先進国に比べてきわめて限られています。言葉や文化の異なる人たちと、日本は今後どのように付き合っていくのでしょう。
この研究会では、日本または世界各国に住む移民や難民に関心のある人が集まり、研究をしています。多様な学問分野の文献を読みながらグループセッションで議論を交わす中で、お互いの優れた点をみつけ、意見を尊重しながら話し合うのは、実は共生のためのプロセスに似ています。アメリカやイギリス、ドイツ、オランダなど受け入れ先進国から、我々は何を学べるのか。一緒に考えていきましょう。

河野 武司 研究会【現代政治理論】



大学生活においてなすべきことは多々あります。その中でも特に私は次に紹介する「三つの出会い」が重要であると思っています。その三つとは、良き師、良き友、良き本です。ゼミはこのような出会いにとって格好の場です。勉学のみならず生き方についても相談できる教師、一生付き合っていける友人、社会における自身の立ち位置のベースとなる本、これらのすべてとは言わないまでも、そのうちのどれか一つにでも私のゼミに所属する学生が出会ってくれれば、本望です。しかし出会いの機会をゼミが用意したとしても、それらに出会えるか否かは、学生本人の問題です。与えられるものではなくて、自らが主体的に獲得すべきものなのです。最後に私のゼミでどのような本に出会えるかについて紹介をしておきます。それは「選挙の時だけ神様でそれ以外は奴隷」という言葉に象徴される代議制民主主義の機能不全とそれを克服するための方策に関する本です。私のゼミではそのような本の輪読を通して、善き市民の育成に努めています。

玉井 清 研究会【近代日本政治史】



明治から昭和までの日本政治史を研究しています。3年次には、内外の出来事を日本のメディアがどのように報道したか、内容分析を行うプロジェクトを立ち上げます。テーマは、5・15事件のような日本に関することだけでなく、西安事件やミュンヘン会議など、海外の出来事も対象にします。研究成果は、国内の有力大学だけでなく、ハーバードやコロンビア大学などの図書館にも所蔵され、既に20巻を超えるシリーズになっています。
4年次には、卒論に取り組みますが、ディズニー、受験、宝塚、英語、パナマ、フィンランド、一見日本政治史とは関係ないようなテーマも選択されます。各自の興味と関心に基づき見つけたことを糸口に、時代を浮き彫りにしていきます。
過去の歴史を知らずして、現在や未来を生きることは地図を持たずに未知の世界に足を踏み入れる危険な行為です。危険回避のための地図作りのお手伝いを、知的感動と興奮の中で行う場が本研究会です。

杉木 明子 研究会【現代アフリカ政治、国際関係論】



皆さんは、アフリカと聞いてどのような連想をしますか?多くの方にとって、アフリカは地理的にも心理的にも遠い地域かもしれません。あるいは貧困、民族紛争や「テロ」、難民問題などに苦悩している地域と考えているかもしれません。しかし、このようなイメージはアフリカの一面にすぎません。
当研究会はアフリカの多様性をふまえた上で、アフリカ諸国における諸問題を政治学、国際政治学のアプローチを用いて分析しています。具体的には、政治体制の変動、開発援助、紛争や「テロ」、平和構築、難民問題、国際犯罪等に関する現状分析やディスカッションを行っています。時には国内外の専門家をゲスト・スピーカーとしてお招きしたり、貧困や紛争等の問題解決を実践的に考えるワークショップも実施しています。このような学びを通して、アフリカ諸国が直面している諸問題の解決や国際協力の方策を多様な観点から検討していきます。

堤林 剣 研究会【西洋政治思想史】

堤林 剣 研究会【西洋政治思想史】

当研究会は開闢以来、西洋政治思想の古典を読み継いでいます。プラトン『国家』、ホッブス『リヴァイアサン』、ルソー『社会契約論』など、時代を経てなお色あせない名著と正面きって格闘する経験こそ、わがゼミで得られる最大の収穫といって過言ではありません。
と少なくとも私は思っているのですが、当ゼミはある種のデモクラシーです。三田祭論文も卒論も各自好きなテーマで執筆でき、イベントの企画はもちろん入ゼミ選考においてさえ私の意見は平等な一票に過ぎないのです。多数決で少数派になることもわりとよくあり、ゼミ生には別の意見がある可能性も否定できません。ただ、願わくばこの高い自由度を活かすため主体的に考え、積極的に学問に取り組む姿勢を持ってほしい。たとえ徒手空拳でも、自ら知の巨人たちに挑んでいけばその先に必ず喜びがある̶当研究会はそれを見出す場となることを目指しています。

出岡 直也 研究会【現代ラテンアメリカ政治】

出岡 直也 研究会【現代ラテンアメリカ政治】

ラテンアメリカ諸国の政治は、それ自体として重要で、興味深いのみでなく、その研究は、軍政などの独裁的な政治、民主化、民主主義のあり方など、様々な分野の一般理論の形成に役立ってきました(同地域の社会・経済・文化なども同様で、本ゼミでは、政治学の知見も活かしつつ、地域研究的にそれらを学ぶこともできます)。
ゼミでは、従来の研究を踏まえて、オリジナルな研究を目指す姿勢を重視しています。地理的に遠く、日本ではそれほど知られていないこともあり、情報収集が簡単とは言えず、外国語文献を多く読むことも必要になるため、その達成は簡単ではありませんが、励まし合って頑張っています。他大学のラテンアメリカ関連のゼミとの合同演習なども通して切磋琢磨し、卒業論文をまとめます。日本では「マイナー」であると思われがちなラテンアメリカ研究は極めて本流的である、という気概を持ったゼミです。

大久保 健晴 研究会【東洋政治思想史、比較政治思想】

大久保健晴研究会【東洋政治思想史、比較政治思想】

私たちが生きている東アジア世界は、これまでどのように形作られ、いかなる未来へ進もうとしているのか。私たちの研究会では、西洋世界との文化接触に注目しながら、近代東アジアの成り立ちについて検討しています。現在、東アジア情勢は、時に緊迫した事態に直面するなど、先行き不透明な展開を見せています。これらの問題の本質を理解するためには、今一度、歴史を遡り、近世・近代東アジアの政治思想や外交について、学問的に解明する必要があります。ゼミでは、文献の輪読とともに、グループワークやディベートなどを通じて、自らが生きている社会のあり方について、自分の頭で考え、自らの言葉で語り、周りの人々を説得できる力を養います。それこそが、今後、社会に出て様々な分野で活躍する皆さんが、最も求められているスキルでもあるのです。

田上 雅徳 研究会【西欧政治思想史】

田上雅徳研究会【西欧政治思想史】

政治に関してまず間違いなくいえるのは、その舞台が「この世」だ、ということです。だとすれば、「この世」以外のものを大事にする人間の営みと照らし合わせることで、「この世」にかかわる(はずの)政治の特徴を浮かび上がらせることができるかもしれません。こうした期待のもとに、私たちの研究会では宗教に注目しながら、欧米において人びとが政治をどう意識してきたのか考えています。「そんなこと、何の役に立つのか」と思われるでしょう。けれども、世界には多くの宗教があり、しかもそれを真摯に信じている少なからぬ人びとが今日も、ビジネスや学問そして政治の世界の第一線で活躍しています。そんな彼ら彼女らとコミュニケーションを取りながら、協力関係を築いていく。そのための基礎トレーニングに、このゼミでの学習はなるはずです。

小嶋 華津子 研究会【現代中国政治】

小嶋華津子研究会【現代中国政治】

私の研究会は、現代中国の政治・外交を学んでいます。一つの国や地域を理解するのは、簡単なことではありません。とくに中国の場合、メディアは厳しい言論統制の下に置かれ、国を動かす巨大組織―中国共産党の指導系統も、断片的な情報から類推するよりほかありません。巷のイメージ論とは一線を画し、問題の構造を把握するには、メディア報道の行間を読みとく読解力、現地の人々との交流や実地調査をつうじて現場の感覚をとらえる感受性、公式見解に縛られない自由な発想で歴史を再編していく発想力が求められます。それは、実に緊張感に満ちた、わくわくする作業です。研究会の活動をとおして、その知的作業のおもしろさを感じるとともに、自らをとりまく権力構造を見据え、問題の本質に迫る自律的思考力を養っていただけたらと願っています。

宮岡 勲 研究会【国際政治理論、安全保障研究】

宮岡勲研究会【国際政治理論、安全保障研究】

本研究会は国際政治理論を使って安全保障問題を研究しています。理論と書くと、現実を無視した難解な知識と格闘するゼミあるいは数学的・統計的手法を学ぶゼミと誤解されるかもしれません。ここでいう理論とは、個々の現象の原因と結果を概念的に記述し、その因果関係を法則的に説明する体系的な知識のことです。難しいことのようですが、実は、私たちは日常生活でも、例えば「X社長は権力闘争の結果、解任された」などと理論的な思考をしているのです。本研究会では、多様な理論の習得と事例での検証により、国際関係のような抽象的な事象であっても論理的かつ多角的に考察できる能力を高めることを目指しています。また、少人数の学生と教員との相互作用を通じて、コミュニケーション能力、批判的思考力、問題解決能力といった社会人基礎力を育むことも重視しています。

澤井 敦 研究会【現代社会理論】

澤井敦研究会【現代社会理論】

政治学科では、政治学に隣接・関連する幅広い研究分野を対象とする研究会が活動しています。社会学・メディア論を扱う研究会も複数存在していますが、その中でも特に私たちの研究会は、「現代社会理論」あるいは社会学の基礎理論について学んでいます。ただ、とはいえ、本研究会が目標としているのは、社会学・現代社会理論を基盤としつつも、むしろ参加者各自が、自分が一番論じてみたいと思う現代社会の動向をテーマとして、自身の学業の集大成と言えるような、充実した卒業論文を仕上げることです。各自のテーマは、家族、コミュニケーション、文化、宗教、格差など様々ですが、多様なテーマを論じる各々が、討論しつつせめぎあいながら、これこそ自分のものといえる議論を鍛えあげていくこと、いわば「論文のなかで自分を立ち上げていくこと」が、研究会の目標です。

細谷 雄一 研究会【西洋外交史、国際政治学】

細谷雄一研究会【西洋外交史、国際政治学】

ヨーロッパの外交史や国際政治を学ぶこのゼミでは、歴史と現在を結びつけ、またヨーロッパと世界を結びつけることで、変転する国際政治をより深く洞察することを目指しています。外交史の魅力とは、人間が苦悩と模索の中で決断を行うその瞬間を追体験できること、そして時間と空間を越えて巨大な国際政治の全体を見渡せることだと思います。その上で何よりも大切に感じていることは、学問を楽しむということ、そしてそれを通じて成長することです。成長できない楽しみは刹那的で、楽しみのない成長は持続しません。ゼミの2年間では、多くの魅力的な外交史や国際政治学に関する本を読み、それを材料にディスカッションを行います。勉強があまり面白くないと感じている皆さん、自らの視野をさらに広げて新しい知的な喜びを見つけませんか?

高橋 伸夫 研究会【現代中国政治史】

高橋伸夫研究会【現代中国政治史】

私たちの研究会では、20世紀中国の政治史を研究しています。政治史とはいっても、革命や戦争といった「華々しい」事件だけを取り上げるのではありません。それらの目立った事件を経ても執拗に持続する諸傾向にも目を向けるようにしています。それは結局、「中国的なるもの」の探求へと私たちを向かわせます。
研究会にはしばしば中国からの訪問研究者に参加してもらっています。それによって、私たちが行う外側からの観察を、内側にいる人々の経験や感覚とつき合わせて、より多面的でニュアンスに富んだものにすることができると考えるからです。中国と付き合う機会がさまざまな場面で増えつつある今日、この大国と向き合っても、冷静に、臆することなく、そしてお互いの利益となる点を求めて対話し続けることができる人材を多く育てることが目標です。

塩原 良和 研究会【社会学、国際社会学】

塩原良和研究会【社会学、国際社会学】

社会学・社会変動論(国際社会学)を学ぶ学生が参加している研究会です。授業ではグローバル化に伴う社会・文化・自己の変容に関連する多くの文献を読み、自分の研究テーマを選んで2年間かけて卒業論文を執筆します。また、教室のなかで学んだ知識をもとに大学外で実践を行い、そこから得られた経験によって社会の変化に対する深い思考を得ることを目指します。学生たちは現在、東京近郊に住む外国につながる子どもたちとのつながりと対話のなかから日本社会における多文化共生(多文化主義)の可能性と課題を模索し、映像などのかたちでそれを広く伝えていく実践を行っています。

岡山 裕 研究会【アメリカ政治、政治史】

岡山裕研究会【アメリカ政治、政治史】

現代の内政を軸に、アメリカの政治や社会について理解を深め、アメリカ政治研究の特徴である理論的・実証的分析の基礎を身につけることを目指しています。最初は英語の論文を通読するのにも苦労しますが、じっくり読み、議論するなかで慣れてもらい、4年生は英語の資料を縦横に駆使して本格的な卒業論文を仕上げています。それによって、批判的に考え、調べ、議論し、書くという、専門化の進んだ今日の社会で必要となる知的技術を吸収してほしい、また何より自由に考えることを楽しめるようになってほしいと考えています。

粕谷 祐子 研究会【途上国比較政治】

粕谷祐子研究会【途上国比較政治】

当研究会は「途上国比較政治」のゼミです。これは、途上国に頻繁にみられる政治問題を、一般化可能な理論や枠組みを用いて分析しようとするもので、例えば、なぜ内戦がおこるのか、なぜ民主化するのか、といったような問題を、既存の理論に照らし合わせながら具体例を検討します。
ゼミでは、半年にわたって文献の輪読をおこなって途上国政治研究の主要テーマを把握した後、ゼミ生各自の選んだ研究課題に沿った研究プロジェクトを進めています。また三田祭では自主研究を発表すると同時に、フェアトレード(途上国との間で適正な価格のもとでおこなう貿易)商品を販売し、研究だけでなくモノを通じた途上国理解をもめざしています。

小川原 正道 研究会【日本政治思想史、日本政治運動史】

小川原正道研究会【日本政治思想史、日本政治運動史】

選挙による政権交代、地方分権、議院内閣制、言論の自由、品行の改善、教育振興......。私たちの耳に入るこうした政治的トピックスは、実は100年以上前、福沢諭吉が主張していました。その多くは当時、実現することはありませんでしたが、慶應義塾は犬養毅や尾崎行雄から小泉純一郎、小沢一郎まで、多くの政治家を輩出してきました。彼等は何を学び、何を求め、何を実現し、何を歴史に残してきたのか。当研究会では、福沢やその門下生などの政治思想・運動に焦点をあて、その実態や実績、可能性を追及しています。資料を集め、読み込み、整理し、発表し、討論し、論文にまとめていく。研究会での活動は、専門的な知識だけでなく、社会で求められるハイレベルの技能、そしてかけがえのない仲間との絆を深めていくプロセスです。