法学部の国際交流

日本ブラジル国際シンポジウム2016開催報告

慶應義塾大学法学部は、2016年11月12日(土)、国民生活センターとの共催で「日本ブラジル国際シンポジウム2016」を開催しました。このシンポジウムは、1981年に締結されたサンパウロ大学法学部との学術交流協定に基づくイベントであり、最近では、2015年8月にサンパウロ大学で開催され、サンパウロ大学と慶應義塾大学との間で包括交流協定も調印されました。2014年5月に設立された日本ブラジル法律・文化協会の支援の下、活発な交流が続いています。

 今回のシンポジウムでは、2016年10月1日から施行された消費者裁判手続特例法を受けて、「ブラジルにおける集団訴訟制度を通じた消費者被害救済と抑止手法の現況」をテーマに、ブラジルの集団訴訟制度創設に関わった専門家や集団訴訟実務に携わる判事・検事による講演に続いて、日本の有識者を交えディベートが行われました。会場は満席で大変な賑わいとなり、好評のうちに無事終了しました。

開会挨拶
慶應義塾大学法学部長
岩谷十郎 先生

開会挨拶
独立行政法人国民生活
センター理事長
松本恒雄 先生

大会趣旨・構成説明
慶應義塾大学法学部准教授
前田美千代 先生

総合司会
慶應義塾大学法学部准教授
薮本将典 先生

ディスカッション
慶應義塾大学法学部准教授 工藤敏隆先生
慶應義塾大学大学院法務研究科教授 三木浩一先生
慶應義塾大学大学院法務研究科教授 鹿野菜穂子先生

講演1
サンパウロ大学法学部教授
アダ・ペレグリーニ・
グリノーヴェル 先生

講演2
サンパウロ州高裁判事、
サンパウロ大学法学部教授
カルロス・アルベルト・
デ・サーリス 先生

講演3
ブラジル連邦検事、
パラナ連邦大学法学部教授
セルジオ・クルス・
アレンハールト 先生

講演4
サンパウロ州弁護士
ツヨシ・オーハラ 先生

講演 5
サンパウロ州弁護士
マリオ・マサノリ・
イワミズ 先生

講演 6
サンパウロ州元高裁判事、
サンパウロ大学法学部教授
カズオ・ワタナベ 先生

撮影:日本ブラジル法律・文化協会

ザールラント大学法経学部との学術交流シンポジウム(ザール・ターゲ2016)

 本年10月3日から4日にかけて、ザールラント大学法経学部との学術交流シンポジウムが開催されました。同学部との交流には約30年の歴史があり、原則として、2年に1度の頻度で、相互に招待をしてシンポジウムを開催しています。今回は、「情報化社会における法的諸問題」という共通テーマの下、様々な法分野の研究者が、日独の最新の議論状況に関する報告を行いました。使用言語はドイツ語・英語でしたが、聴講者として参加した大学院生等を含め、活発な議論が行われ、有意義な催しとなりました。登壇者は以下の通りです。

【ザールラント大学(登壇順)】

 アンネマリエ・マトゥーシェ=ベックマン、ローラント・ベックマン、

ミヒャエル・マルチネック、ルドルフ・ウェント、ダグマー・リヒター、

トーマス・ギーゲリッヒ、ゲオルグ・ボルゲス

【慶應義塾大学(同上)】

 岩谷十郎(法学部)、田村次朗(法学部)、佐藤拓磨(法学部)、水津太郎(法学部)、

三上威彦(法務研究科)、芳賀雅顯(法務研究科)、小山剛(法学部)、君嶋祐子(法学部)、

大屋雄裕(法学部)、アンドレア・オルトラーニ(法学部)

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慶應-ライシャワー共同研究プロジェクト「戦後日本の"かたち"」第1回イベント開催

 昨年、法学部とハーヴァード大学ライシャワー日本研究所の間で合意が結ばれ、今後3年間にわたり共同研究を行うことになりました。共同研究の名称は、慶應-ライシャワー共同研究プロジェクト「戦後日本の"かたち"」(Reischauer-Keio Joint Research Project, The "Constitution" of Postwar Japan)と言います。このプロジェクトはもともとライシャワー研究所に設置されていた「日本憲法改正リサーチプロジェクト」をベースにそのグローバルパートナーとして本法学部が加わる形で成立したものです。英文タイトルにはconstitutionとありますが、この言葉の原義は「かたち」「基本骨格」ですので、本プロジェクトでは広く戦後日本をかたちづくる重要問題を内外の研究者との学術交流を通じて明らかにすることを目的としております。

 その第1回のワークショップは、「歴史、歴史家、公的争点」と題して、2015年12月16日・17日の二日間にわたり、三田のG-SECラボで行われました。司会は、このプロジェクトの共同ディレクターを務めるHelen Hadacre教授(ハーヴァード大)と駒村圭吾教授(本学部)が担当し、清家塾長、岩谷学部長のご挨拶に続き、内外の他分野にわたる研究者が、個別報告(16日)、共同討議(17日)を行いました。個別報告では、公害・環境問題と市民運動、慰安婦問題や歴史認識問題、体制側からの立憲主義と民主主義の問題、等々が議論され、共同討議ではアメリカの歴史研究者が発した歴史修正主義に対するオープンレターの経緯・意義、研究者責任と社会的コミットメント、等々について議論がなされました。なお、本イベントと並行して、ハーヴァード大院生と法学部生がグループワークを行う学生セッションが行われ、英語による活発な討議がなされたことも付言しておきます。

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登壇した研究者(敬称略・順不同)

 Alexis Dudden(マサチューセッツ大学)

 Timothy George(ロード・アイランド大学)

 Helen Hardacre(ハーヴァード大学)

 Franziska Seraphim(ボストン・カレッジ)

 Makiko Ueda(ライシャワー研究所)

 駒村圭吾(慶應義塾大学)

 添谷芳秀(慶應義塾大学)

 堀川三郎(法政大学)

 松平徳仁(神奈川大学)

 三浦まり(上智大学)

 渡辺美奈(WAM)

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ゲオルク・ボルゲス教授 学術講演会

 2015年12月4日(金)、慶應義塾大学三田キャンパス南校舎472教室にて、ゲオルク・ボルゲス教授(ザールラント大学)による学術講演会「『ペッパー』と法――新たな科学技術に対応する法改正は必要か("Pepper" und das Recht - Reformbedarf im Recht durch neue Technologien?)」が開催されました。

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 「ペッパー」というのは、ソフトバンク社が提供する、感情をもったパーソナルロボットのことです。「ペッパー」に象徴される新たなデジタル世界に対して、現行法は十分に対応できているのか。本講演ではこの問題に答えるために、自動運転自動車による事故、家事ロボットによる殺人、鉄鋼工場へのハッキング攻撃といった具体的な事例について、損害賠償責任の成否と主体の問題が詳しく検討されました。教授は結論として、デジタル世界に適した法改正が必要不可欠だとし、次のような言葉で講演を結んでいます。「われわれが生きているこの新たな世界は、法に対しても挑戦状を突きつけている。法は、新たな解決への着手を余儀なくされているのである」。

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 本講演には、民法学者のみならず、刑法や民事訴訟法の研究者、さらには情報技術やロボットの専門家も参加しました。質疑応答においては、教授と参加者との間で、問題や分析視角の設定の仕方から結論として示された立法のあり方にいたるまで、様々な観点から活発な議論がなされ、有意義な学術交流が実現しました。

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コミュニティダンスって何?~セシリア・マクファーレン氏の講演とワークショップ~

 現在イギリスでは、町づくり、コミュニティにおける問題の解決を市民の力で行っていこうという地域貢献のあり方が積極的に模索されている。その中でもCharles Landry氏などを中心に提唱されている「創造的な町づくり」の方法として、芸術をツールに使いながらhuman capitalとしての市民の力とアーティストの力をタイアップさせるさまざまな試みが展開されている。  今回は、そのようなアート・イニシアティブのあり方を模索するためにダンスを使った関係性の構築に取り組むCecilia Macfarlane氏をお招きして、community danceの意味をワークショップとその後のディスカッションを通して体感した。参加者は学生のみならず、福祉施設で働く人々、アーティスト、親子、そして社会的自立を目指す人々などさまざまであった。  Oxford Youth Danceを立ち上げ、振り付け家としても活躍するマクファーレン氏は、世界各国でコミュニティダンスの講演とワークショップを開催している。日本にもすでに9回来ているマクファーレン氏が強調することは、「違い」をそのまま受け入れること、模倣するのではなく、自分の内面から湧き出てくることを重視すること、それを他者との協力へとつなげることである。ワークショップの中では自分を「開く」ことと「閉じる」ことを交互に行いながら、自分を他者に開いていく身体と見出していった。その後はペアになり、グループになることで、自らの動きを他者と合わせながら、ダンスによるコミュニケーションを導き出していく。  同時にマクファーレン氏は肉体としての身体にも私たちの注意を向けていった。身体の中心を意識し、背骨の柔軟さを意識する。その中で閉じる、開ける身体を今度はメカニズムとして理解し、実現していく方法である。  このふたつを通して、ディスカッションではさまざまな議論が展開された。高齢化社会の中で芸術の意味は何か。同時に異世代間で表現を共有する意義はどういうことか、またその効果的な方法は何か。芸術という表現法は時に非常に強い影響力をもたらすが、安全なコミュニティ構築を行うためにはどうすればよいか。文化的な違いから同じ芸術でも学びあえることはあるか、日本人の身体とコミュニケーションの特徴など、質問とディスカッションのテーマの提供はあとをたたなかった。  今回はワークショップのあとで、行ったことの意味と意義の説明をマクファーレンしが行い、それをもとにディスカッションを行った。この順序は参加者にとって、コミュニティダンスの意味をあらかじめ体感した上で疑問を導き出すという意味で効果的であったと思われる。  今後もこのようなアート・ワークショップとディスカッションを定期的に行ってほしいとの希望が多数の参加者から寄せられた。ぜひとも実行したい。

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ヘレン・クラーク国連開発計画(UNDP)総裁講演会

 2015年11月24日北館ホールにてヘレン・クラーク国連開発計画(UNDP)総裁による講演会を開催しました。総裁はこの日UNDPと慶應全塾レベルでの教育協定を締結するために来塾され、その記念に「私たちの望む世界:持続可能な開発目標と若者のリーダーシップ」と題した講演をおこなってくださりました。講演では、ご自身の経歴、UNDPでの仕事の話、総裁自身が直接手がけたり訪問した、若者によるさまざまな開発プロジェクトの紹介など、多岐にわたる内容について紹介がありました。40分の講演後には会場の参加者と質疑応答をおこない、日本の若者に是非開発分野でのリーダーシップを発揮してほしい、との激励の言葉を頂戴しました。


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Political Institutions Workshop with John Carey

 選挙制度研究や議会政治の研究で著名なジョン・キャリー教授 (ダートマス大学政治学部長)をお招きし、2015年3月21日(土) に三田キャンパスにて研究会を実施しました。キャリー教授の東京への招聘には文部科学省「スーパーグローバル大学」の支援を得ています。研究会では、ダートマス大学の堀内勇作准教授による司会のもと、キャリー教授の最近のご研究の報告の他、日本で活躍する若手の政治学研究者からの研究報告をしていただきました。報告者の氏名およびタイトルは以下のとおりです。

John Carey* & Yusaku Horiuchi (Dartmouth College)
Compulsory Voting and Income Inequality

Masaaki Higashijima* & Eric Chang (Michigan State University)
The Choice of Electoral Systems in Dictatorships

Marisa Kellam* (Waseda University) & Cecilia Martinez-Gallardo (University
of North Carolina)
Winning Coalitions in Presidential Systems: Pre-Electoral Alliances and Post-Electoral Governments in Latin America

Juan Pablo Micozzi (ITAM) & Hirokazu Kikuchi* (IDE-JETRO)
Partianship, Ambition, and Roll-Call Behavior in the Argentine House and Senate

Masashi Higuchi* & Takeshi Iida* (Doshisha University)
The Bargaining Power of a Non-leading Party in a Coalition Government: Why Did
Komeito Accept the Exercise of the Right to Collective Self-Defense So Quickly?

(*は当日の報告者です)

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Gender and Politics Workshop with Lisa Baldez

 ジェンダー政治の研究で著名なリサ・バルデス教授 (ダートマス大学)をお招きし、2015年3月21日(土) に三田キャンパスにて研究会を実施しました。バルデス教授の東京への招聘は文部科学省「スーパーグローバル大学」の支援を得てのものです。研究会では、法政大学の衛藤幹子教授による司会のもと、バルデス教授の最近の著作であるDefying Convention: U.S. Resistance to the UN Treaty on Women's Rights (Cambridge University Press)に基づくご報告をいただいたほか、日本および韓国で活躍する若手のジェンダー政治研究者3名から研究報告をしていただきました。また、東京大学のジャッキー・スティール教授、京都大学の辻由紀教授には報告に対するコメンテーターを務めていただきました。報告者の氏名およびタイトルは以下のとおりです。
Lisa Baldez (Dartmouth College)
How the UN Women's Rights Treaty Works: Process, Not Policy
Kimiko Osawa (Yonsei University)
Traditional Gender Norms and Women's Political Participation: How Conservative
Women Engage in Political Activism in Japan
Phoebe Holdgruen (German Institute for Japanese Studies/ co-authored with Barbara Holthus, University of Vienna)
Gender and Political Participation in Post-3/11 Japan
Naoko Oki (Ochanomizu University)
Women and Political Party Candidate Recruitment in Local Assemblies in Japan

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社会科学系英語論文のアクセプトを勝ち取るために(How to Publish in Social Science Journals)セミナー

 2015年3月20日三田キャンパスにて、ダートマス大学政治学部長のジョン・キャリー教授を講師にお迎えし、 英語の論文を社会科学系の学術誌に出版するための「こつ」をお話いただきました。ご報告では、ご自身の研究の出版や査読者、エディターとしての経験をもとに、アメリカを中心とした政治学の学術誌出版状況についての最近の傾向や非英語圏の研究者が英語で出版するための戦略等を指摘していただきました。当日は学内外の教員や大学院生の参加を得て、活発な意見交換がおこなわれました。

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清華大学との学術交流 公開シンポジウム

慶應義塾大学法学部・大学院法務研究科共催
「シンポジウム・企業再編の現代的課題――日中民商法比較の観点から」

 

開催日時:平成26年3月4日 10時~17時


場  所:三田南館ディスタンス・ラーニング室


シンポジウム内容
10時~: 池田眞朗教授「会社再編と債権譲渡・債務引受・契約譲渡」

      王保樹教授「中国民法改正」

      金山直樹教授「利息制限法の脱法と法人格否認」

 

14時~:宮島司教授「濫用的会社分割と詐害行為取消」

      朱慈温教授「中国における組織再編」

      菅原貴与志教授「事業譲渡をめぐる実務問題~債権者保護を中心に」

      朱大明専任講師「中国証券法改正と組織再編」


  ※中国語での発表は同時通訳します。

 

来塾される、王保樹清華大学教授(中国民事法学界の重鎮)、朱慈温同大学教授(中国商法学界の重鎮)は中国法学界において重責を担われており、また朱大明同大学専任講師は一橋大学で博士号(法学)を取得し日中両国の法事情に詳しい新進気鋭の商法学研究者です。

 

ご関心をお持ちの方にはぜひご参加いただきたく、ご案内申し上げます。

(法学部 山本為三郎)